公正証書遺言の作成を弁護士に依頼した場合の流れ
1 全体の流れ
公正証書遺言の作成を弁護士に依頼した場合は、主として以下のような流れで作成していくことが多いです。
①遺言書の目的の設定
②遺言書の文案、付言の文案チェック
③公証役場に向かう日の設定
④作成当日
以下、解説していきます。
2 遺言書の目的の設定
遺言を書く際に重要なことは、なぜ遺言を書くのかを明確にしておくことです。
なぜなら、遺言を書く目的は各人の状況に合わせて様々であるため、その目的を実現するための遺言を作成しておく必要があるからです。
例えば、推定相続人の1人に多くの贈与を行ってきたから、相続の時には他の推定相続人の方に多めに財産を残したい場合や、相続人の1人が被相続人の持っている土地の上に建物を建てたため、その土地だけは確実にその人にあげたいと考えている場合等が挙げられます。
このような目的をしっかり設定した上で、その意思を弁護士に伝え、その目的を実現するための遺言を作ることが大切です。
3 遺言書の文案、付言の文案のチェック
目的の設定を行った後は、ご自身の意思が正確に反映されているか等、遺言書の文案を確認します。
また、必要に応じて付言事項を追加しておくとよいでしょう。
付言事項は、感謝や希望などを記したメッセージのようなもので、法律上の効力はないものの、遺言者の思いを伝えるために有効といえます。
例えば、遺留分侵害額請求が見込める事案であっても、付言に遺言者の思いを示すことで、相続後の争いを避けることができる可能性があります。
ご自身が遺留分権利者となる相続人に対してどのような言葉を残せば、権利者が遺留分を行使しなくなる可能性があるかをしっかり吟味しながら、付言を残すようにしましょう。
4 公証役場に向かう日の設定
遺言書の文案ができたら、弁護士を通して公証役場に行く日を設定します。
公証役場は、平日のみ空いているため、日中に仕事をしている方は少し先の日程まで含めて確実に休める日を伝えておくようにしましょう。
また、必要な資料を提出したり、事前に遺言書の文案について公証人とやり取りを行うこともあります。
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