交通事故の裁判の期間
1 裁判は示談に比べると時間と費用がかかる
一般的に、裁判をした場合には、示談(話し合いによる解決)に比べ、時間と費用を要するとされています。
その実態について、お伝えします。
2 裁判の準備期間
交通事故で損害賠償を求める場合、直ちに裁判となることは少なく、普通は、まず話し合いによる解決を探ることになります。
そして、話し合いによる解決ができない場合に、裁判となるわけですが、裁判を行うためには、訴状や証拠書類など、必要な書類を作成する必要があります。
これに必要な期間については、事件の内容にもよりますが、弁護士が作成し、依頼者がこれを確認し同意するまで、簡単なもので1週間以上、難しい事件であればそれなりの時間がかかることになります。
3 裁判に要する期間(裁判所への書類提出から和解または判決まで)
⑴ もっとも短い場合
もっとも短い場合とは、相手方が、裁判所から書類が届いたにもかかわらず、何ら反論の書面を提出せず、裁判の期日も欠席した場合です。
このような場合、原則として、原告(被害者)が求めたとおりの判決がされます。
裁判所への書類提出から、判決まで、概ね2か月から3か月程度です。
ただし、交通事故の場合、多くは相手方が任意保険に加入しており、裁判への対応は、相手方本人ではなく、相手方が加入している保険会社の弁護士が対応することとなるため、上記のような早期の判決は、まれな事例となります。
⑵ 上記以外の場合
被害者の主張に対し、相手方が反論し、これに対して被害者がさらに反論するといった交互のやりとりが続いた場合、その途中でも、必要に応じて証拠の提出がされます。
また、書面だけでは判断がつかず、事故の当事者や証人から直接話を聞く必要がある場合には、法廷での尋問となり、さらに時間がかかります。
この場合の裁判の期間ですが、早くても半年程度、難しい事案であれば年単位での期間が必要となることもあります。
また、裁判の場合、不服がある場合には、さらに上級の裁判所に控訴することができるため(例:地裁での判決に不服がある場合は、高裁に控訴することができます。)、控訴がされた場合には、さらに裁判の期間が延長されることになります。
⑶ 裁判の費用
訴えを提起するには、所定の印紙を納める必要があります。
また、弁護士との契約において、多くの場合、出廷ごとに日当(裁判所に出かけたこと自体に対する金銭の支払)や交通費の支払いが必要となることが多いため、裁判が長期化すれば、その分、費用もかさむことになります。
交通事故の加害者が弁護士を立てたときの対応 紛争処理機構について