交通事故の一括対応について
1 保険会社による一括対応
一括対応は、加害者側の任意保険会社が自賠責保険と任意保険を一括して被害者に支払うことをいいます。
強制保険といわれる自賠責保険が最低限の補償を行い、自賠責保険で支払い切れない補償を任意保険で支払う構造になっています。
2 自賠責保険と任意保険
⑴ 自賠責保険における慰謝料
自賠責保険は、傷害分(後遺障害と死亡以外のもの)の保険金の上限が120万円とされています。
この上限額の限度で、治療費、交通費、休業損害、慰謝料などが補償されますが、相場よりも低額であることが多いです。
例えば、自賠責基準の慰謝料は、「4300円×総治療期間」または「4300円×実治療日数×2」のうちどちらか低い金額になります(令和2年3月31日以前の事故の場合には、「4200円×総治療期間」または「4200円×実治療日数×2」のうちどちらか低い金額になります)。
令和2年4月1日以降の事故で、通院期間が90日、実通院日数が30日の場合には、「4300円×90日」よりも「4300円×30日×2」の方が金額が低いため、
4300円×30×2=25万800円
が通院慰謝料の金額になります。
⑵ 任意保険の役割
一方で、相場といわれる弁護士基準(裁判基準)の通院慰謝料は、90日間の通院で他覚所見のない打撲や捻挫などの場合、53万円が目安になります(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準参照)。
このように、自賠責基準では25万800円、弁護士基準(裁判基準)では53万円と、自賠責保険と弁護士基準(裁判基準)では、慰謝料の額に大きな差が出ていることが分かるかと思います。
自賠責保険で支払いきれない部分を支払うのが、本来の任意保険の役割になります。
3 任意保険会社から被害者に対する連絡
一括対応を受ける場合には、定期的に、任意保険会社の担当者から被害者に連絡があることが多いです。
症状・治療に関することから、賠償に関することまで様々な話をされることがあります。
任意保険会社の担当者と話をするのが大変だと感じられる方は、弁護士に依頼して任せてしまうのも1つの方法です。
そうすれば、弁護士が保険会社とのやり取りを代理で行ってくれますので、ご自身で対応する必要がなくなり、ご負担を減らせるかと思います。
4 任意保険会社の示談金の提案に注意
任意保険会社による示談金の提案は、自賠責基準で計算された金額であることが少なくありません。
上記で説明したように、自賠責基準と弁護士基準(裁判基準)では大きな金額差が生じることがあります。
とはいえ、専門的な知識がなければどのくらいの金額が妥当なのか、自分で判断するのは難しいかと思います。
保険会社から示談金の提案があった場合は、それに同意する前に、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
当法人では、交通事故の問題を集中的に取り扱っている弁護士がお悩みに対応させていただきます。
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