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弁護士法人心 横浜法律事務所

紛争処理機構について

  • 文責:所長 弁護士 湯沢和紘
  • 最終更新日:2024年6月18日

1 紛争処理機構の概要

紛争処理機構は、自動車賠償責任保険における、事故態様・過失割合の認定や、後遺障害の認定について争いがある場合、その後に裁判となった場合を除き、最終的に判断する機関です。

判断をするための審査員は、専門的知識・経験を持つ弁護士や医師、学識経験者などから構成されます。

紛争処理機構は、自動車賠償責任保険を運営している各保険会社・共済からは独立した立場で判断を行っています。

そして、その判断に対し、保険会社・共済は従わなければならないとされています。

2 異議申立てとの違い

⑴ 異議申立てについて

自動車賠償責任保険に支払いを求める場合、まずは事故の相手方が契約している保険会社に支払いを求めます。

その結果、「加害者側には事故に対する賠償責任がない」「後遺障害に該当するとは認められない」などの理由により、自動車賠償責任保険からの支払いが受けられなかったり、被害者側の過失割合が大きいことを理由に自動車賠償責任保険からの支払金額が減額されたりすることがあります。

こうした結果に対して被害者側で異議がある場合は、自動車賠償責任保険に対して異議を申し立てることができます。

異議の申立ては、自動車賠償責任保険における時効期間が経過するまでは、制度上は繰り返し行うことができるものとされています。

⑵ 紛争処理機構について

異議申立てが繰り返し行うことができるのに対し、紛争処理機構が示した判断に対しては、さらに異議を申し立てることはできません。

つまり、紛争処理機構の判断は、自動車賠償責任保険の制度・組織における最終的な判断といえます。

この判断に不服があり、異なる結論を得ようとするのであれば、裁判所に訴え、紛争処理機構で示された判断と異なる判断を得るしかありません。

3 審査についての紛争処理機構と裁判所の違い

裁判所での審査の場合、訴状の提出時に、請求額に応じた印紙の納付が必要となり、これ以外にも裁判所に納付する費用が発生することがある等、所定の費用がかかります。

また、申立てから結論が出されるまでに、複数の期日(審査の日)を経る必要があります。

このため、時間と費用がかかります。

これに対し、紛争処理機構での審査は無料であり、必要書類を提出した後は、期日の開催はなく、紛争処理機構の判断を待つだけとなっています。

したがって、裁判所での審査に比べ、費用と時間が少なくて済みます。

4 紛争処理機構への申立ての際の留意点

上記のとおり、紛争処理機構は、自動車賠償責任保険を運営する保険会社・共済とは異なる立場にて判断を示す組織である一方、紛争処理機構が示した判断を覆すためには、裁判所への訴え以外の方法がありません。

このため、紛争処理機構への申立ては、慎重に行う必要があります。

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