むちうちになった場合の慰謝料の計算方法
1 慰謝料の計算方法
交通事故の加害者の保険会社や裁判所は、慰謝料を計算するにあたって一応の目安ともいうべき基準をもっています。
加害者の任意保険会社の多くは、自賠責保険会社が定める計算方法(自賠責基準)に従って、慰謝料を計算します。
これに対し、弁護士は、裁判所が用いる計算方法(裁判所基準)に従って、慰謝料を計算します。
慰謝料は、通常、自賠責保基準より裁判所裁判基準の方が高額となります。
以降で、むちうちの慰謝料の目安について、それぞれ比較してみたいと思います。
2 自賠責基準と裁判所基準によるむちうちの傷害慰謝料
自賠責基準は、①(4300円×通院期間)と②(4300円×通院回数×2)とを比較して少ない金額となりますが、治療費、通院交通費、休業損害などを含めて120万円が上限です(令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合)。
裁判所基準は、通称「赤い本」と呼ばれる「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」を参照します。
例えば、むちうちの治療をするために、5か月間(150日)で合計40回、病院や接骨院に通院した場合、自賠責基準によると34万4000円(4300円×40×2)、裁判所基準によると79万円(入通院慰謝料・別表Ⅱ・通院5か月)です。
3 自賠責基準と裁判所基準によるむちうちの後遺障害慰謝料
むちうちに伴う症状について認定される可能性のある後遺障害等級は、14級9号(局部に神経症状を残すもの)または12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)です。
自賠責基準(自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準)は、14級は32万円、12級は94万円と定めています(令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合)。
裁判所基準は、赤い本を参照すると、14級は110万円、12級は290万円です。