高次脳機能障害における画像所見の重要性
1 はじめに
高次脳機能障害が認められるためには、画像所見が不可欠です。
これは、自動車賠償責任保険における高次脳機能障害による後遺障害の認定について、画像所見の存在を含むところの、次の三つの要素について検討することとされているためです。
2 高次脳機能障害が認定されるための三つの要素
自動車賠償責任保険において、事故による高次脳機能障害を原因とする後遺障害が認定されるためには、以下の三つの要素の有無を検討することとされています。
- ⑴ 交通外傷による脳の受傷を裏付ける画像検査の結果(画像データ)があること
- ⑵ 一定期間の意識障害が継続したこと
- ⑶ 被害者に、一定の異常な言動等が生じていること
3 画像所見の重要性
⑴ 画像は、交通事故による脳の損傷を端的に示すものであること
交通事故により高次脳機能障害が発生したことを認定するに当たっては、上記三つの要素のうち、画像データの存在がもっとも重視されております。
その理由は、交通事故によるけがは、交通事故の際の外力(事故の際の衝突時の衝撃など)が脳を含む身体に作用することにより生じるものであり、上記画像データは、身体(脳)に交通事故による外力が作用を及ぼしたことを、端的に示すものであるためです。
⑵ 画像所見を得ることができない場合
これに対し、交通事故後の脳の受傷を推認させる画像データが存在しない場合、高次脳機能障害の症状があったとしても、事故を原因として、高次脳機能障害を発症したものと認定をすることは、困難であるのが実情となっています。
ただし、自動車賠償責任保険は、事故後の脳全体の萎縮の事実と、事故後3か月程度での萎縮の固定を確認した場合には、事故による脳神経の損傷を認めるとしています。
上記の認定をしてもらうためには、事故直後の脳の画像と、その後の画像との比較により、脳の萎縮を確認する必要があります。
即ち、上記の萎縮の確認をするにしても、結局のところ、脳の損傷の画像ではないにしても、脳の萎縮についての画像所見があることが前提となっています。
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