民事再生と個人再生にはどのような違いがあるのか
1 民事再生と個人再生
債務整理手続きの中に「再生」という手続きがありますが、これには「個人再生」と「民事再生」の2つの種類があります。
民事再生法に定められている民事再生手続きは、裁判所に債務減額等を定めた再生計画を認可してもらうことで、破産することなく経済状況を立て直すことができる制度です。
民事再生は、ある程度の規模がある法人を想定した制度であるため、手続きが複雑な上、費用も数百万円単位でかかるものとなっています。
そのため、個人でも民事再生が利用できないわけではありませんが、現実的には利用がかなり難しいものとなっていました。
そこで、民事再生を個人でも利用しやすいように手続きを簡略化したものが「個人再生」となります。
2 手続上の違い
両者の違いとして、まず、利用できる人に違いがあります。
実際に利用されるかどうかは別として、民事再生は法人だけでなく個人も利用できます。
他方、個人再生はその名のとおり個人しか利用できません。
次に、債務の上限金額にも違いがあります。
民事再生は債務額の上限がありませんが、個人再生は債務額5000万円を超える場合には利用できません。
債務が5000万円を超える場合で、あくまで再生手続きを行いたいということであれば、通常の民事再生を利用することになります。
なお、住宅ローン特則を利用する場合、住宅ローンの残高については上記5000万円の計算には含めません。
その他、手続き上の違いについて、個人再生では個人再生委員が、民事再生では監督委員がそれぞれ選任されますが、監督委員が手続き全般について監督等の職務を行うのに対し、個人再生委員は裁判所から指定された職務のみを行うなどの違いがあります。