同時廃止の場合、どのくらいの期間がかかりますか?
1 同時廃止とは
同時廃止というのは、自己破産を申し立てた際に裁判所が行う決定の1つです。
破産法216条1項に「裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。」と規定されています。
破産手続の開始と同時に廃止の決定を出すことになるため、原則とされる管財事件よりも短い期間で終結することとなります。
2 同時廃止の実情
上記1の条文だけ読むと、手元にお金がなければ裁判所は同時廃止の決定を出さなければならないように読めます。
しかし、破産手続きは、最終的に数百万円、事案によっては何千万円、何億円もの債務であっても支払義務の免除を受けられるものであり、財産隠し等がある場合は当然問題となりますので、裁判所も簡単に同時廃止を出すわけにはいきません。
条文上、破産手続の費用を支弁するのに不足すると「認めるとき」とあることから、実務上は、費用等がないか否か、同時廃止の決定を出して問題ないか否かを慎重に審査したうえで出されていると言えます。
3 具体的な期間
⑴ 申立ての準備期間と申立てまでの目安
まずは自己破産の申立ての準備期間があります。
ある程度費用の準備に時間を要する場合もあるでしょうし、自己破産の申立てに必要となる書類の準備に手間取る方もいます。
早い方はおおむね3か月やそれより早いタイミングで申立てができますが、時間がかかる方は申立てまでに半年以上の期間を要する方もいます。
破産の申立てまで半年以上かかる場合、裁判所から時間を要した理由の説明などを求められることがありますので、目安としては半年以内で申立てができた方がスムーズといえます。
⑵ 裁判所の判断
自己破産申立て後、裁判所が同時廃止をするか否かの判断には1~2か月程度の期間を見込んでおくとよいかと思います。
この間、判断のための追加書類の提出や追加の説明を求められることもあります。
⑶ 免責決定までの期間
同時廃止の決定が出れば手続きが完了するというわけではなく、その後の免責決定を待つ必要があります。
免責決定までは2か月程度を要するかと思います。
この間は、債権者から免責についての意見を求める期間にもなっています。
免責審尋期日が設けられ、裁判所への出頭を要することもありますが、新型コロナウイルスの影響などにより、不出頭のまま決定が出る場合が多いです。
⑷ 免責決定
特に意見が出なければ、裁判所の方で免責決定を出します。
免責後、約1か月で免責決定の効力が確定し、借金についての支払義務が免除されることになります。
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